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キャリア決済を導入してみたら課金開始率が10%以上UPした話

はじめに

こんにちは、NewsPicksエンジニアの上村です。

NewsPicksのプレミアム月額プランがキャリア決済に対応しているのはご存知でしょうか?

これまで決済手段はクレジットカード決済のみでしたが、今年(2023年)3月に全ての新規購読者向けに(プレミアム月額プランのみ)3キャリアの決済手段が選択可能になりました。

そこで今回はキャリア決済導入の経過と学びについて書いていきたいと思います。

プレミアム月額プランでキャリア決済が選択可能になりました

これまでのNewsPicks有料プランの決済手段と課題

前述した通り、これまでNewsPicksではWEB有料プランの決済手段はクレジットカードのみで、クレジットカードを持っていない方は購読ができない状態でした。

クレジットカードを持っていても、カード番号の入力が必要でQR決済など他の決済と比べると面倒ですよね。実際にクレジットカードの入力画面をみて購読をやめたり後回しにしてしまう方は一定数いると思います。

そこでより多くの方にNewsPicksの有料プランを購読いただくために決済手段の拡充を行うことになりました。

なぜキャリア決済にしたのか

当初、キャリア決済以外の候補としてはPayPay・LinePayなどのコード決済もあり、実際に他社事例でもこれらを導入しているサービスが多くありました。

しかし確認を進めていくとコード決済は残高不足で課金に失敗することがあり、自動更新型のサブスクとは相性があまりよくないことが分かりました。

 

決済手段拡充の初手としては、他社導入事例も多く相性が良いキャリア決済を3キャリア(d払い、auかんたん決済、ソフトバンクまとめて支払い)導入することになりました。

また、有料プランのうちプレミアム月額プランのみを対象にABテストで効果検証を行いながら段階的にリリースする方針で進めることにしました。

開発

実装は去年(2022年)9月頃から着手しました。

新しい決済手段の導入はNewsPicksの課金システムの中心部に手を入れることになり、修正が必要な箇所が多かったので私含め3~4人で実装を行いました。

また実装以外にも利用規約や注意事項の洗い出し・更新作業も発生するので実装と並行して進めました。

 

キャリア決済導入という山に登る

NewsPicksでは支払処理は外部決済サービスを利用しており、キャリア決済についても決済サービスが提供するAPIを利用することにしました。

 

決済サービスのAPIは仕様書があるものの不明点は多く、実装事例がネットで出てくるものではないので、設計に問題があるかは動かしてみないとわからない状況でした。

もし問題があると設計の見直しやリスケが発生してしまいプロジェクト全体に影響が出てしまいます。

 

マネージャーから「山に登るための道が通っているか(実現可能か)、障害物がないか(実装上追加考慮が必要な点がないか)を先回りして確認すべし」とアドバイスをいただいたこともあり、タスクを依頼する前にAPIレスポンスをcurlで確認したりプロトタイプを作って不確定要素を減らしていきました。

大きな岩、滝、がけ崩れなどがあるかもしれないの図
書いて説明していただきました

不明点が多くリスクが大きい状態でしたが、このアドバイスがあったことでリスクを減らしながら「こうすればできたのでこう実装すれば良い!」という確信を持ってチーム全体で安定して進めることができたと思います。当初わからないなか右往左往していた状況でアドバイスいただいたり、一緒に進めてもらったチーム内外の方々には感謝です。

 

スケジュールに影響が出るような大きな設計上の問題もなく進み、テストについてはQAチームにも協力してもらいながら、検出した不具合を潰していきました。

そして、APIを利用するための手続きなどを経て12月にd払いのみ先行でABテスト開始しました。au・ソフトバンクについても続けて実装し、2023年2月には3キャリアともABテストを開始しました。

 

ABテスト

キャリア決済を導入するとクレジットカードを持っていない方も購読できるようになるため新規課金者数や売上増加につながることが予想できましたが、念の為ABテストで検証してから全適用する方針で進めました。

 

キャリア決済を導入した場合・導入しなかった場合で50:50の割合でABテストを実施しました。(NewsPicksでは独自のABテスト基盤があり、これを利用することで簡単にテストを実施できます!)

tech.uzabase.com



通常テスト期間は2週間程度が多いですが、今回は検証に必要なサンプルを確保するためテスト期間は1.5ヶ月行いました。

十分なサンプルが取れたところで、①申込完了率(申込完了数/支払画面到達数)、②トライアル→課金転換率(課金数/申込完了数)、③課金開始率(課金数/支払画面到達数)を確認したところ、いずれもキャリア決済を導入した方がプラスになっていることがわかりました。

 

特に③課金開始率については10%以上プラスの結果となり、手数料などを加味しても課金による売り上げの増加に十分寄与することがわかりました。

これらの結果を踏まえ社内で検討のうえ、今年(2023年)3月にABテストを全適用しました。

 

振り返り

キャリア決済の導入は、私が関わった案件の中では入社後一二を争うくらい大きいものでしたが、チームとして下記を実行できたのは良かったと思います。これから関わる案件でも意識して開発していこうと思います。

  • 外部APIサービスを利用するということで不明点が多いプロジェクトだったが、技術的問題がないかを先行して確認した(山に登る道を確認した)ことで大きな問題が発生することなく進行できた
  • ABテストを実施したことで課金率や申込率を定量的に測定でき、その結果をもとにキャリア決済の導入可否を判断できた

 

今後は、キャリア決済を他プランに適用したり新たな決済手段の導入を検討していきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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