ユーザベースが手がけるさまざまなサービスの背後には、これらを支えるプロフェッショナルたちの存在があります。そんな彼、彼女たちはどのような思いでユーザベースに加わり、日々の業務にあたっているのでしょうか。このシリーズではユーザベースのコーポレートITと情報セキュリティ組織で働くエンジニアたちに焦点を当て、外からは窺い知れない仕事の舞台裏をご紹介します。今回登場するのは高校教師や音楽留学を経てエンジニアに転じた異色の経歴を持つ、InfraOps Teamの吉田寛です。
IT Domain Corporate Engineering Division
InfraOps Team
吉田 寛
2001年大学の教育学部を卒業後、家庭教師のアルバイトやオーケストラ団体の会計責任者を経て公立高校の数学教師に。その後、チェロ演奏家を目指しウィーンに留学。2008年に帰国し、SIerに入社。システムの保守や運用を皮切りにシステム開発などに従事する。2018年人材会社に転じ、データイネーブルメントや情報システム部門のマネージャーを経験。2024年4月ユーザベース入社。
# 私が貫く仕事の流儀
ひとりの旅人が3人の職人に「ここで何をしているのか」と尋ねると、それぞれ「ただひたすらレンガを積んでいる」「生活のために壁をつくっている」「人々が祈りを捧げる大聖堂を建てている」と語る寓話を耳にしたことがあります。私が真のプロだと思うのは、自分の仕事がもたらす成果を見据えてレンガを積み続ける最後の職人です。
高校教師、チェロの演奏家を経て飛び込んだITの世界
—— InfraOps Teamのお仕事内容を教えていただけますか?
社内情報システムの管理と運用を担っています。全社で利用しているSaaSの管理・運用に加え、ヘルプデスク対応や社員のアカウント管理、パソコンのキッティングなどを担当しています。
—— ユニークな経歴をお持ちだと聞きました。
大学の教育学部を卒業後、家庭教師の傍ら友人が立ち上げたオーケストラの会計担当を経て、公立高校の数学教師になりました。教師を辞めてからは、チェロの演奏家として独り立ちするためウィーンに留学していた時期もあります。帰国後、入社したSIerで保守や開発を経験し、前職にあたる人材会社では、データイネーブルメントや情報システム部門のマネージャーを務めました。
—— とてもバラエティに富んだ職歴だと思うのですが、吉田さんご自身はご自分のキャリアをどのように捉えていますか?
分野こそ違いますが、人や組織と向き合いながら課題解決にあたってきたという点に一貫性を感じています。とくにITの世界に足を踏み入れてから、自分と関わる人たちが楽しく仕事ができる環境を整えることを強く意識するようになりました。
—— そもそもなぜITの世界に足を踏み入れたのですか?
ウィーンで出会った各国の留学生から受けた影響が大きかったですね。自分の将来を見据えて語学を学び、学位を取り、ビジネスの世界に飛び込もうと意気込んでいる姿を見て、私も地に足をつけて働こうと思いました。それで、30代になる直前に帰国して就職することにしたんです。当時は基幹システムの刷新がとても盛んでエンジニア未経験でも採用してもらいやすかったことと、大学で学んだプログラミングを学んだとき面白味を感じたこともあり、チャレンジしてみることにしました。
—— エンジニアになってからはどんなお仕事を?
通信系ミドルウェアの開発・保守にはじまり、入社4年目からはプロジェクトリーダーとして、顧客折衝や要件定義、設計、開発、チームビルディングに取り組みました。その後、入学したビジネススクールでの経験を踏まえ、働く人の環境をよくしていく仕事に携わりたいという気持ちが強くなり、人材会社に転職しました。
徹底的に「使い倒される」ユーザベースの情報システム
—— 人材会社ではデータイネーブルメントと情報システム部門のマネージャーを務めたそうですが、具体的にはどんな仕事だったのでしょう?
データイネーブルメントチーム時代は、膨大な時間を費やしていたデータ分析前の下処理を効率化するETLツールやデータの利活用を推進するBIツールの導入などに携わりました。情報システム部門に異動してからは、日常の管理職業務を遂行する傍ら、リモートワーク環境への急激な移行で生じた問題の収拾、情報システム部門内のガバナンス強化やチームの再構築に努めました。
—— 前職でも責任ある立場を務めていた吉田さんは、なぜ転職しようと思われたのですか?
転職を志した一番の理由は働き方を変えたかったからです。実は2022年に子どもが生まれたのを機に時短勤務を選択したのですが、チーム再構築のさなかだったこともあって労働時間は減るどころかかえって増えてしまうような状況でした。転職を志したのは情報システム部にいた3年の間に、めぼしい課題を一通り解決できたのと、後を託せる優秀なリーダーやマネージャーが採用できたからです。家族のためにも環境を変えようと考えて転職に踏み切りました。
—— ユーザベースを選んだ決め手を教えて下さい。
パパママ向けの転職支援サービスに登録したところ、紹介された1社がユーザベースでした。カジュアル面談に対応してくれたCIO兼CISOの王(佳一)が非常に明るくて前向きな人で、話を聞いているうちにモチベートされたのが大きかったですね。また、会社として組織づくりやチームビルディングを大切にする姿勢に共感したことも、入社を決めた理由の一つです。
—— ユーザベースの情報システム環境について教えてください。他社と比較してどんな特徴がありますか?
業務遂行やID管理など、あらゆる面でSaaSを活用しているのが一番の特徴です。「使いこなしている」といったレベルではなく「使い倒している」といったほうが適切なほど、徹底的に活用しています。しかもさまざまなツール間でデータ連携する仕組みがつくられており、いままで見たどの企業よりも活用レベルが高いと感じました。
—— 「使い倒している」からこそ、難しい面があったりするのでしょうか?
そうですね。さまざまなSaaSを巧みに組み合わせ、持てる機能を使い込んでいるだけに、ちょっとした変更でも、このデータがどこに連携されていてどの部門が使っているのかを正確に把握し、各所に漏れなく確認を取らなければなりません。また私の所属するIT Domainでは、専門性や機能ごとにチームが細かく分かれていることもあり、普段運用で使っているSaaSが別チーム管理のものだったりすることもあります。そのため、何かを変えるときには常に全体像を把握した上で、関係各所と連携を取り合う必要があります。活用レベルが高いからこそ慎重に対応しなければならならないという意味では難易度は高いように思います。
日々の業務の傍ら、キャパを超えた業務ツールの刷新に挑む
—— 吉田さんが入社後、ご自分の成長を実感したイチオシのチャレンジを教えてください。
2024年10月から取り組んでいる、承認・稟議申請とIT資産管理ツールの刷新ですね。先ほどユーザベースは「ツールを使い倒している」とお話ししましたが、いま運用している承認・稟議申請とIT資産管理ツールについても同様で、社員が数百人だった時代に導入したツールを使い続けており、すでに想定されるキャパを超えてしまっています。少し前から使い勝手の悪さやメンテナンスコストの高さが顕在化しはじめたこともあり、いま使っているサービスを現在のユーザベースの規模に合ったサービスに刷新するプロジェクトに取り組みはじめました。
—— ツールが変わることでどんなメリットがありますか?
一番のメリットはさまざまなシステムや機能と連携することによる自動化です。たとえば各システムと連携して、アカウント発行の申請がされたら承認後に自動でアカウント発行が実行されたり、これまで人力で対応していたPCの棚卸なども、自動に近い形で行えたりするようになります。申請する人はもちろん、管理する人にとっても業務が楽になるような仕組みを目指しています。
—— 進捗についてはいかがですか?
現在は、申請・承認のワークフローの移行を進めており、今年のうちには移行を終える見込みです。既存の申請が300種類ほどあり、既に使われていないものやどこが管理しているのかが分からないものも一部あります。それらを一つずつ明らかにしながら何をどこまで移行すべきかなど、情報を整理しながら移行スケジュールを固めているところです。
—— プロジェクトを進める上で、とくに力を入れていることを教えてください。
高価なツールで業務を刷新したのにかえって業務負荷が増えてしまっては本末転倒です。そのため、利用者にとって分かりやすい仕組みになるよう、ワークフローの入口を全てSlackに一本化するほか、できるだけ同じやり方でシステム間の連携を図るなどして、システム管理者の学習コストを減らせるような設計を心がけています。せっかく取り組むのですから、サービスを提供してくださっているベンダーさんに成功事例として採り上げてもらえるような成果を残したいですね。
ともに働きたいのは
「The 7 Values」を体現できる人
—— 吉田さんはこれまでさまざまな経験をしてこられました。仕事のうえで大切にしていることを教えてください。
問い合わせや相談を受けたらすぐ対応するのはもちろんですが、場当たり的な対応に終始していては本質的な解決にはならず、メンバーも疲弊するばかりです。ですから、日々の小さな改善の積み重ねに加えて、少し先の未来を見据え大胆に変えることを恐れない気持ちを大切にしています。以前にも増してそう思えるようになったのは、ユーザベースが掲げる34の約束にある「ルールを守るか、自ら変える」というカルチャーに触れたからです。必要に応じて変えることも歓迎されるカルチャーがなければ、失敗を恐れずチャレンジする気にはならないでしょうし、メンバーに自信を持って想いを伝えることもできなかったと思います。
—— 今後の目標を教えてください。
先ほど挙げた承認・稟議申請とIT資産管理ツールの刷新を通じて、現場で働く社員の利便性を高めつつガバナンスをしっかり効かせられる環境をつくっていきたいですね。たとえば、法務相談と申請が連動する仕組みにしておけば、申請が上がった時点で事前相談を終えた前提で承認できるので「法務相談は済んでいるか」といった確認作業は不要になります。このように仕組みを工夫することで、ユーザーの利便性とガバナンス向上は両立できると考えています。ツール以外にも、InfraOpsチームの体制強化や担当領域の見直しなども視野に入れながら、ユーザーも管理側も効率的に業務を行える環境にしていきたいと考えています。
—— どんなタイプの方が向く職場だと思いますか?
変化の激しさを逆手に取って、スキルアップに活かそうと思ったり、どうやったら効率的にさばけるか、前向きに考えられたりする人ならきっと楽しめる職場だと思います。かつ「困っている人を助けたい」など、働くことに対して自分なりの目的意識を持ち、そこに情熱を傾けられる人にとってはとても働き甲斐のある職場だと思います。
—— 吉田さんはどんな方と一緒に働きたいですか?
ユーザベースが掲げる「The 7 Values」、特に「スピードで驚かす」「迷ったら挑戦する道を選ぶ」「渦中の友を助ける」を体現できる方、もしくは体現しようと前向きに行動する方ですね。InfraOps Teamのメンバーは困りごとを抱える現場のみなさんのヒーローのような存在。大小さまざまな課題解決に強い意志を持って向き合える人とご一緒したいと思います。
—— ありがとうございます。最後に読者にメッセージをお願いします。
ITの力で働く環境を変えていきたい方、難題と向き合っても投げ出さず地道に解決に向けて努力できる方とご一緒したいですね。ユーザベースには優秀な仲間たちが大勢いて、とても仕事を進めやすい環境が整っています。情熱を持って仕事の幅を広げていきたい方にはどんどん仕事をお任せしていくつもりですので、年々大きくなるユーザベースを一緒に盛り上げていきましょう。