#05 加藤 孝祐|IT PROFESSIONALS

ユーザベースが手がけるさまざまなサービスの背後には、これらを支えるプロフェッショナルたちの存在があります。そんな彼、彼女たちはどのような思いでユーザベースに加わり、日々の業務にあたっているのでしょうか。このシリーズではユーザベースのコーポレートITと情報セキュリティ組織で働くエンジニアや、プロダクト開発に携わるエンジニアに焦点を当て、外からは窺い知れない仕事の舞台裏をご紹介します。今回登場するのは、ユーザー系システム子会社のSE(システムエンジニア)やプロジェクトマネージャーを経てユーザベースに入社し、セールス領域担当のBusiness Analystとして活躍中の加藤孝祐です。

IT PROFESSIONALS #05 加藤 孝祐 技術だけに固執せず、広い視野で事業の成長にコミットする。SIerを経て手に入れた、Business Analystの挑戦思考

ユーザベースが手がけるさまざまなサービスの背後には、これらを支えるプロフェッショナルたちの存在があります。そんな彼、彼女たちはどのような思いでユーザベースに加わり、日々の業務にあたっているのでしょうか。このシリーズではユーザベースのコーポレートITと情報セキュリティ組織で働くエンジニアや、プロダクト開発に携わるエンジニアに焦点を当て、外からは窺い知れない仕事の舞台裏をご紹介します。今回登場するのは、ユーザー系システム子会社のSE(システムエンジニア)やプロジェクトマネージャーを経てユーザベースに入社し、セールス領域担当のBusiness Analystとして活躍中の加藤孝祐です。

PROFILE

加藤 孝祐

IT Domain IT Strategy Division
Business Analysis Team
Business Analyst

加藤 孝祐

2010年、大学を卒業後、大手総合商社のシステム子会社に入社。システムエンジニア兼プロジェクトマネージャーとして親会社やグループ会社の業務システムの管理、保守、開発に携わる。2019年4月、FORCAS(現・ユーザベース)に入社。顧客戦略プラットフォーム「FORCAS」のセールスオペレーション兼Salesforceの管理者として、営業支援システムの再構築や販売管理システムの導入などのプロジェクトに携わる。現在は2025年1月に新設されたBusiness Analysis TeamのBusiness Analystとしてセールス領域を担当。中小企業診断士。

# 私が貫く仕事の流儀

目指す目標が大きければ大きいほど、ひとりでできることは限られる。私の理想は高い専門性を持ちながら、自分にはない能力を持った仲間たちと協力して大きな成果を残すこと。これからも自らの力に慢心せず、チームワークを重んじ説明責任を果たしていきたいと思っている。

事業再編を機に、より主体的に働ける環境を求めて転職を決意

—— 加藤さんは現在どんなお仕事を担当されていますか?

1月に新設されたBusiness Analysis Teamで、セールス領域担当のビジネスアナリストとして働いています。主な業務は法人向けサービスの販売や顧客管理に用いるSalesforceの管理、運用、改善です。

—— ユーザベースに入社するまでの経歴を教えてください。

2010年に大学を卒業して、大手総合商社のシステム子会社に入社し、システムエンジニアとして約9年間、要件定義やプロジェクトマネジメントに携わりました。ユーザベースに転職したのは2019年のことです。

—— ユーザベースは2社目なんですね。前職ではどんなお仕事を担当していたんですか?

当時は、親会社向けの自動計上システムや、グループ各社の財務諸表収集システムの再構築など、物流や会計にまつわる業務システム開発に携わることが多かったですね。主に担当していたのは、開発プロジェクトの初期構想、要件定義、パートナーと共同での機能開発、プロジェクトマネジメント業務です。このほかにもIT統制監査をクリアするための運用改善や、業務システム維持管理チームのリーダーを任されることもありました。

—— 商社の業務システムならではの難しさってあるんですか?

あまり意識したことがありませんが、親会社やグループ会社からの依頼になるので、ある程度無茶な注文だと思っても「NO」という選択肢は基本的にはなかったですね。ですから、すぐに頭を「HOW」に切り替えて、落とし所を探るような思考や交渉力が鍛えられたように思います。担当するのは親会社やグループ会社のシステム開発でしたから、経験を積めば積むほど仕事が廻しやすくなるのですが、一方で、限定された領域で厳しい制約条件をクリアしなければならない難しさもありました。やりがいと同時に大変さを感じる職場だったように思います。

—— なぜ、転職を考えるようになったのですか?

勤めていた会社が事業再編により分社化されることになったからです。私が転籍する予定だった会社で担当できる企業や業務範囲が私の希望と異なることがわかったので、人事とも話し合った結果、転職することにしました。

—— 転職活動で重視したのは何ですか?

一時は、別のSIerで経験を積むことも考えましたが、どうせ転職で環境を変えるなら顧客システムの開発を行うSIerではなく、事業会社で自社の業務システムに携わってみたいと思うようになりました。なぜかというと、前職では長年運用を重ねてきたシステムを前任者から引き継ぐことがほとんどで、「ユーザーはどんなシステムを求めているか」「なぜ、この仕様でなければならないのか」といった、開発における「WHY」や「WHAT」を根本から考えることがほとんどなかったからです。自社の業務システムなら「HOW」はもちろん「WHY」や「WHAT」も考えながら、仕事ができるはず。そう思ったので事業会社の社内SEに的を絞ることにしました。

加藤 孝祐

—— それでユーザベースに入られたわけですね。なぜ数ある選択肢のなかからユーザベースを選んだのでしょうか?

きっかけは、当時FORCAS(現・スピーダ 顧客企業分析/顧客企業データハブ)のカスタマーサクセス部門に勤めていた妻の紹介です。私のこれまでの仕事と転職先に求める希望を知る妻に「いままでの仕事とは少し違うけれど、合うかもしれない」といわれ興味を持ちました。面接にいった結果、FORCASのセールスオペレーション兼Salesforce管理者という立場で入社することになりました。

—— 入社の決め手は?

Salesforceの管理経験はなかったですし、セールスオペレーションをまわしたこともなかったので、自分にとっては大きな挑戦になると思いましたが、これまでとはまったく違う環境で経験を積むチャンスだと思いました。また、フルフレックスが可能な勤務制度が当時の生活サイクルとマッチしたことや社員の自主性を重んじる社風、当時面接を担当してくれた部門長から伝わる人柄のよさに触れて決心しました。

現場に近づいたことで上がった業務とシステムへの解像度

—— Business Analystとしての活動はいつから?

2025年1月からです。2021年にセールスオペレーション業務の兼任を外して、2024年12月まではSalesforceを基盤としたユーザベースの業務システム開発に携わっていました。現在は新設されたBusiness Analysis Teamでセールス領域担当のBusiness Analystとして、セールス領域の業務改善やシステム開発の企画などに専念しています。

—— 前職とは異なる仕事にチャレンジしてみていかがですか? 率直な感想を聞かせてください。

「立場が変わればシステムの見方も変わるんだな」というのが率直な印象です。前職も業務システムの開発だったのですが、先ほども申し上げた通り私の所属会社は顧客から受託する立場でした。こちらにきてセールスオペレーションに携わりながらシステムと向き合えたので、業務内容についてはもちろん、システムそのものへの解像度も格段に上がった気がします。しばらくは、Salesforceの特徴やクセを把握するのに苦労しましたが、いまにして思えば苦労のしがいがありました。

—— 前職での仕事といまの仕事では何が違いますか?

以前は業務システムの上を流れるデータに着目していましたが、いまは現実世界で起こっている業務をシステム上でどう表現するかについて第一に考えるようになったのが大きな違いでしょうね。システムが主ではなく、業務の実現が主になったので、前職で培ったスキルや経験を違う世界で生かしている気がします。

—— どんなときに、その「違い」を実感しますか?

たとえば、セールスから「画面のここにボタンを追加したい」と、いわれたとします。以前なら、いわれた通りにボタンを追加することが正解でしたが、ここでは「なぜボタンを追加しなければならないのか」「ボタンを追加することが最善の選択なのか」といった疑問をひとつずつ解消する必要があります。なぜなら、われわれエンジニアもセールスと同じ事業の当事者だからです。もしオペレーションを変えることで機能開発するよりも安く早く課題解決できるなら、迷いなく後者を勧めると思います。それが自社の業務システムに携わる意味だと思うからです。

加藤 孝祐

現場への理解を深めた結果芽生えた、全体を俯瞰する意識

—— いまは、どんなプロジェクトに携わっていますか?

2024年4月から2024年12月にかけて取り組んだ、Salesforceで再構築した販売管理システムへのデータ移行が一段落したので、2025年1月からは、今後に向けた機能強化に取り組んでいます。具体的にはセールスチームやオペレーションチームから上がってきた仕様要求や要望に優先順位をつけ、初期構想にまとめて後工程の開発チームに受け渡すプロジェクトです。

—— 入社して一番成長したと思うプロジェクトを教えてください。

2022年2月から23年4月まで取り組んだ、スピーダ エキスパートリサーチの販売管理システムのリプレースプロジェクトですね。構想段階のフェーズで自社の商流や業務上の課題を解像度高く理解することで、その後の開発工程も業務へのインプリメンテーションもスムーズに進むことがわかり、業務とシステムの間を取り持つ意義が明確になったからです。工期が比較的短く、外部の開発リソースを借りながらの垂直立ち上げは楽ではありませんでしたが、業務プロセス全体を俯瞰しながらの開発に取り組んだ結果、統制レベルを引き上げ、生産性向上が実現できました。この取り組みで得た知見が、いまわれわれがいるBusiness Analysis Teamが生まれる端緒になったという意味でも、思い入れのある取り組みです。

加藤 孝祐

—— この仕事を通じてどんな学びがありましたか?

実は、われわれの立場って、見込み客の獲得から入金や売買計上といった会計処理までの流れを俯瞰して見られる数少ないポジションなんです。そのおかげで、技術や営業領域にとらわれず業務全体を広く深く知ろうと思えるようになったのは、私にとって大きな収穫でした。実はこのプロジェクトの後、妻の職場復帰と交代する形で育休を取ったのですが、ワンオペ育児の合間を縫ってSalesforce資格を取得したり、中小企業診断士資格の勉強をはじめたりしたのは、このプロジェクトを通じて、営業の周辺にある会計や契約・法務などについても知っておくべきだと痛感したからです。復職後、留守を預かってくれていた同僚に「自分の仕事を返せ」とはいえませんしね(笑)。このプロジェクトが改めて自分の強みについて考える契機になりました。

—— 前職のころから、そうした前向きなマインドで仕事に取り組んでいたんですか?

いえ。当時はそこまで考えることはありませんでしたね。年齢が若かったせいもあるでしょうが、いまより相当意識が低かったと思います(笑)。前向きになれたのは、ユーザベースにきて、自分なりに考えて学んだことが、実務に生かせる場面がたくさんあることに気づけたおかげでしょう。誰の意見や考えもフラットに受け入れて、実現に向けて背中を押してくれる環境があるからこそ、自然と意識が高まったんだと思います。

システムの目的は「理想的な現実を再現すること」にある

—— 改めてご自分の仕事についてどう感じていらっしゃいますか?

ユーザベースのBusiness Analystは、技術的知見をベースとしつつも、それを自社のビジネスや業務改善に応用することにやりがいを見出せる方に向いている仕事だと思います。エンジニアとしての専門性を持ちながら、ビジネス課題の解決にも関心がある方にとっては、技術と事業の架け橋となれる魅力的な仕事ではないでしょうか。とくにユーザベースは既存事業の再編や新規ビジネスが頻繁に立ち上がる会社なので、変化を前提に現場のみなさんと想定しうる課題を洗い出し、適切な手を打つことに使命感を感じられる人に向く仕事だと思います。

—— 加藤さんが、仕事を進める上で大事にされていることは何ですか?

大事にしているのは、知識や興味、関心をシステムという枠に留めないことですね。われわれの仕事は、現実で起こっている業務を理想へ近づけ、システムで再現することであり、現実こそが主体だからです。深く技術に没頭していると見落としがちな側面ですが、一歩引いた目線で業務やビジネスを捉え、自分の言葉でビジネスや業務を語るための努力は惜しまないようにしています。

—— 今後の目標は? どんなことにチャレンジしたいですか?

Salesforce管理者としては、今後も引き続き現場のみなさんが使いやすく、変化に対応しうる拡張性の高い環境を提供することにチャレンジしたいですね。中長期的にはビジネスアナリストに必要な人材要件を明確化し、優秀な人材を育て、いままで以上に組織的に動けるような体制をつくりたいと思っています。

—— 最後にこの記事をお読みのみなさんにメッセージをお願いします。

私たちの仕事は事業を取り巻く変化と表裏一体です。システム担当も事業をわがこととして捉え、アップデートしていく必要があります。これはSIerやSES(システムエンジニアリングサービス)ではなかなか経験できないことではないでしょうか。もし、エンジニアとして蓄えたスキルや経験を、ビジネスの変革や成長に生かしたいと思うなら事業会社はおすすめの選択です。とくに個人の創造性や好奇心を大切にするユーザベースのような会社なら、思う存分力を発揮できると思います。技術を武器にしつつ、技術に固執しない働き方を求めている方なら、きっとやりがいを感じてもらえるはずです。

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