ユーザベースが手がけるさまざまなサービスの背後には、これらを支えるプロフェッショナルたちの存在があります。そんな彼、彼女たちはどのような思いでユーザベースに加わり、日々の業務にあたっているのでしょうか。このシリーズではユーザベースのコーポレートITと情報セキュリティ組織で働くエンジニアや、プロダクト開発に携わるエンジニアに焦点を当て、外からは窺い知れない仕事の舞台裏をご紹介します。今回登場するのは、広告代理店や制作会社、事業会社で多種多様なデザインを経験後、ユーザベースに入社し、現在アートディレクター兼デザイナーとして活躍する小田稔郎です。
IT Domain
Corporate Design Division
Art Director / Designer
小田 稔郎
京都工芸繊維大学造形工学科を卒業後、グラフィックデザイナーとして広告代理店に入社。紙媒体やWeb媒体をはじめ、空間演出や動画、CM制作など、さまざまなメディアに携わる。その後、制作会社、ペット保険会社や調剤薬局チェーンの運営会社のインハウスデザイナーを経て、2020年7月、ユーザベースに入社。現在は、自社主催のビジネスカンファレンスやイベントに関わるデザイン企画から、空間デザイン、各種ツール類のデザイン制作や、ユーザベースのテックブランディングに関するコンテンツ企画やWebデザイン等、自社サービスのマーケティング施策のデザイン支援などを手がけている。
# 私が貫く仕事の流儀
自分自身を鼓舞する意味でも、仲間を増やす意味でも、どんな仕事もまずは自分が楽しむようにしています。ワクワクした気持ちを隠さずに取り組むのと、事務的に淡々と取り組むのでは、仕事に向き合うモチベーションや熱量はもちろん、結果の成否にも大きな影響があるからです。仕事を楽しんでいれば、自ずと周囲も率先して動いてくれるようになります。どんなに難しい課題に直面しても、自らが楽しむ姿勢を貫き体験価値の最大化を実現したい。それが私にとっての仕事の流儀です。
化学教師志望からデザイナーの道へ
—— 小田さんはいつユーザベースに入社されましたか?
2020年です。7月でちょうど丸5年になります。それ以前は、広告代理店や制作会社、ふたつの事業会社で販促ツールや紙媒体のデザインを軸に、広報やPR、Webマーケティング、動画やCM制作などに携わりました。実はペット用保険を提供する会社のインハウスデザイナーだったときに、新規事業開発や、営業として顧客開拓をしていたこともあるんです。デザイナーの枠を超えて、いろいろな仕事を経験しました。現在は、ITDomainの中でCorporate Design Divisionに所属しています。一見、デザイナーはITとは離れた職種のように思われますが、ITとデザインを掛け合わせることで、従来にはないコーポレートITの活動や取り組みを展開し、新たなシナジーを生み出すことにチャレンジしています。具体的には、社内のDX推進におけるUI/UXの改善、ITツールの導入時におけるユーザビリティの向上、システム開発プロセスにおけるデザイン思考の活用など、多岐にわたる分野での貢献を目指しています。また、IT部門と他部署との橋渡し役として、技術的な内容をより分かりやすく伝えるためのビジュアル化や、社内コミュニケーションツールのデザイン改善なども視野に入れています。具体的な取り組みはまだ検討段階のものが多く、これまでの経験を活かしながらITとデザインの新しい価値創造に挑戦していきたいと思います。
—— そもそも、なぜデザイナーになろうと思われたんですか?
もともと数学や化学が得意だったので、ゆくゆくは祖父と同じ化学教師になるつもりで理系大学に進学したのですが、1年後、同じ大学のデザイン系の学科に入り直しました。予備校時代の友だちや大学の同期に、デザインや建築好きな人が多く、彼らから刺激を受けたことが大きかったですね。通っていた大学がある京都は、美術館や歴史ある建築物の宝庫です。個性的な品揃えの書店やギャラリーなども多く、アートに触れる機会がたくさんあります。美しいデザインに触れたときの心の揺れを、自分も誰かに届けられたらステキじゃないかと思い、親に頼み込んで大学に入り直し、デザインを学びはじめました。
—— デザインを学んでみていかがでしたか?
デザインは、感覚的な部分も大事なのですが、依頼してくれた人に説明責任を果たす必要もあり、論理的な思考力が欠かせません。また、デザインする際にも、画面全体の黄金比や余白の割合、配色など、数値でコントロールする部分がとても多いので、想像以上に理系的な素養が活かせると思いましたね。
事業会社で広がった、
デザイナーとしての守備範囲
—— 卒業後、念願のデザイナーとしてキャリアをスタートさせたわけですが、広告代理店や制作会社から、事業会社に転じたのはなぜですか?
一昔前まで、小さなクリエイティブエージェンシーは、どこも深夜残業が当たり前でした。さすがにいつまでもそんな働き方は続けられないと思ったのと、制作会社時代の先輩デザイナーがとても優秀で、こんなにスゴい人たちと真正面から戦っても勝ち目がないと思ったのが理由です。自分の強みであるコミュニケーション力とクライアントワークで培ったホスピタリティとデザイン力を事業会社で発揮したら、これまで以上の価値が出せるのではないかと考えて決めました。
—— ペット保険会社や調剤薬局チェーンでインハウスデザイナーを務めたそうですね。
はい。どちらの会社でも評価してもらえましたし、プレスリリースの作成や記者発表会のアレンジ等、PR領域にもチャレンジできました。頼ってもらえる機会が多く居心地も良かったのですが、その居心地の良さがかえって「このままじゃまずいかも」という焦りにつながってしまいました。
—— どういうことでしょう?
あるとき、スキルや感性を磨く機会がめっきり減ってしまったことに気づいたんです。世の中がどんどん変わっていくのに、このままデザイナーとしての成長が止まってもいいのかと思ったとき、新しい場所でチャレンジすべきだと直感しました。当時の私には、デザイナーとして切磋琢磨できる環境が必要だったんです。
—— なぜ数ある選択肢から、ユーザベースを選んだのですか?
当時、NewsPicksはデザイナー界隈でも、複雑な情報をわかりやすく、かつ美しく魅せるインフォグラフィックで話題でしたし、働きやすい企業ランキングの上位にも名前を連ねる注目企業だったので、興味を持ちました。私が応募した際、ユーザベース/ニューズピックスがこれまでチャレンジしたことのない規模のビジネスカンファレンスにチャレンジできるデザイナーの募集中だったので、これまでの経験が十分活かせそうだと感じたのと同時に、自分にとっても大きな挑戦になると感じたのも、応募した理由のひとつです。コロナ禍で、世の中も個人も未来が見えず不安を抱えている状況の中、ユーザベースに関われることは自分にとっても1つの希望だったので忙しい業務の合間を縫っての転職活動だったので、内定をもらえたときは嬉しかったですね。
—— これまでユーザベースでは、どんなお仕事を担当されましたか?
入社直後に担当したのは『コロナ禍に大阪で開催したハイブリット形式のビジネスカンファレンス「WestShip」』で、会場設計からWebサイトの制作から、ポスターやサイネージ広告、イベント当日、会場で配布するノベルティグッズや演出用のオープニングムービーの作成を担当しました。その後も、丸の内で開催した「CHANGE to HOPE 2022」や、2023年のユーザベース創立15周年記念パーティーなど、カンファレンスやイベントに携わる機会が多かったですね。現在は、社内外のイベント関連のデザインに携わりながら、ユーザベースのCorporate Design Divisionのアートディレクター兼デザイナーとして、エンジニア採用を念頭に置いた、テックブランディング企画などを手がけています。
当事者として、社内外に信念やビジョンを発信する面白さ
—— 小田さんにとって、ユーザベースに転職後に経験したイチ推しのプロジェクトは?
先ほども少し触れた創立15周年パーティーですね。イベント企画や制作物のデザインといった実務に加え、以前携わった店舗デザインで身に付けた素材の知識や人脈をいかんなく発揮できたからです。この案件をきっかけに、周囲のみなさんから「イベントが得意な人」と思っていただけるようになり、改めて自分が、ゼロから人を巻き込んで、新しい価値を生み出していくことが好きなんだと自覚できたプロジェクトでした。
—— これまで携わってきた仕事とはまた違う喜びがあったのですか?
そうですね。やっていること自体にそれほど大きな違いがあるわけではないのですが、何より、Corporate Designチームが担っているのは、さまざまな手段を講じて、私たちの信念やビジョンを社内外に発信することです。それだけに以前の仕事よりも当事者意識が高まりましたし、デザインに込める思いの丈も強くなりましたね。15周年記念パーティーを担当したときも、限られた予算のなかで、お招きするみなさんに最大限喜んでいただくために何ができるか、チームが一丸となって知恵を絞りました。最終的に、架空の国で開かれる「夜市」をコンセプトに、パスポート風のインビテーションカードや屋台風の空間演出など、非日常的な空間でみなさんに感謝を伝えることにしたのですが、お世話になったみなさんに喜んでいただくことができ、とても嬉しかったのを覚えています。
—— お話を聞いていると、既存の枠に収まらない働き方をされているようにお見受けします。
そうなんですよ。良くも悪くも仕事の枠が決まっていないんです(笑)。コーポレートのデザイン業務以外にも、今年の4月に、エキスパートリサーチを提供する、グループ会社の「Mimir」のマーケティング施策のデザイン支援も行っており、今年の4月にはその一環として、前年度に多大な実績を残したエキスパートのみなさんを讃える「EXPERT AWARD 2024」というイベントのデザインを担当しました。これはユーザベース全体にいえることですが、自由と責任が両立できれば、どんどん仕事の幅を広げられますし、前例にないことや、職域を超える挑戦に寛容な会社なんです。私にはとても合っている環境でしたし、毎回何かしらストレッチを感じることがあるので、仕事に飽きることはないです(笑)
自由と責任を両立すれば、どんなチャレンジも可能になる
—— 小田さんは、仕事に取り組む上でどんなことを大事にしていますか?
コンテンツやデザインを届ける人たちのことはもちろん、私に仕事を依頼をしてくれている人が何を求めているかについて、しっかり考えることを大切にしています。いま携わっているテックブランディングにしても、ユーザベースには、NewsPicks以外にも、法人向け経済情報プラットフォームのSpeedaを開発するチームや、私たちが所属するCorporate Design Divisionにもエンジニアチームがあり、それぞれ開発スタイルもカルチャーも異なります。先入観にとらわれずにコミュニケーションを重ね、何を伝えるべきかを深く理解することは、一人ひとりが多様でありながら、メンバー全員が共有する価値観を表現する上で欠かせないプロセスなんです。
—— ありがとうございます。小田さんはどんな人と働きたいと思いますか?
ユーザベースが掲げる The 7 Values に「迷ったら挑戦する道を選ぶ」という言葉があります。私は、常に手が届くかどうかわからないギリギリの目標に向かってチャレンジし続けたいと思っているので、この思いを共有できる成長意欲の高い人と働きたいですね。ただ、人によって大事にしたい思いはさまざまです。ユーザベースには個人の思いを受け止め、伸ばせる環境があるので、その人らしさが発揮できるのであれば、どんな方でも大歓迎です。
—— これからどんな目標を目指しますか?
今後、すべての仕事は、多かれ少なかれAIの影響を受けることになるでしょう。私自身、AIが出すアイデアにハッとさせられることもありますし、アイデアを出すスピードや数はとうていAIにはかないません。ですが、AIに仕事を奪われるのではないかと戦々恐々とはしたくありません。先のことはわかりませんが、当面は目指すべき目標に狙いを定め、その実現に向けてメンバーを鼓舞し、最後まで伴走しきるディレクション力や、迷ったときに指針を示す決断力は、人間にしか担えないのであれば、そこを磨いていくべきだと思います。これからも、AIの力を借りながら、ゼロからイチを生み出すために必要な能力を高めていくつもりです。
—— ユーザベースでのキャリアに興味がある読者にメッセージをお願いします。
もし、今いる会社で停滞感に苛まれていたり、裁量を持って働ける環境を求めていたりするのであれば、ユーザベースはお勧めの選択です。メンバーに機会と可能性を提供するのがユーザベースのカルチャーだからです。私が所属するCorporate Designに限らず、ユーザベースには多種多様な仕事があり、さまざまなキャリアを持った人たちが活躍しています。きっとあなたの理想に近い仕事が見つかるはずなので、興味を持ってくださるのであれば、ぜひチャレンジしてみてください。きっとより良い未来が手に入るはずです。