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「CTOとして経営参画すること」と、「エンジニアがCEOになること」の違い

ユーザベースのPodcast「Meet UB Tech」では、SPEEDANewsPicksなどのサービスを開発するエンジニアチームのカルチャーをゆるっと配信しています。
本記事ではMeet UB Tech #6 「エンジニアのキャリアと組織」から、要点をピックアップしてお届けします。

出演者:
林尚之 @t_hysshユーザベース B2B SaaS Business 執行役員 CTO、UB Datatech 代表取締役)
赤澤剛 @go0517goNewsPicks 執行役員 法人領域開発担当、AlphaDrive CTO)
イイダユカコ @becynNewsPicksエンジニア/パーソナリティ)

CTOとCEOの違い

イイダ:
今日はゲストに、ユーザベースのSaaS事業でCTOを務めつつ、今回新しくUB Datatechというグループ企業のCEOに就任された林さんにお越しいただきました。

林:
よろしくお願いします。

イイダ:
今回は共同パーソナリティとしてNewsPicks/AlphaDriveの赤澤さんにもお越しいただいて、3人でお届けしたいと思います。
よろしくお願いします。

赤澤:
僕自身も1年ほど前に、AlphaDriveのCTOに就任しました。まだまだヨチヨチCTOなんですが、林さんにとって「CTOであること」と「エンジニアがCEOになること」の違いってありますか?

林:
CTOとCEOの実務上の違いは、やはり会社自体の方向性を考える必要があることだと思います。CTOのときもエンジニア領域の予算を見ることがあると思うんですが、CEOになるとエンジニア領域以外の予算や、会社全体の組織も見る必要があります。

エンジニアにとってエンジニア領域を見るというのはイメージしやすいと思いますが、畑違いのところに対して、CEOとしてのコミットが求められますし、意識しているところです。

赤澤:
実際にCTOからCEOになってみて、ギャップとかはありましたか?

林:
それでいうと、僕自身はあんまりギャップとかはなかったですね。

UB Datatechはユーザベースに必要なデータを組成していくのが目的の会社なのですが、もともとSaaS事業でデータ組成のチームを見ていたこともあって。あと取締役に小副川さん(健 / ユーザベース B2B SaaS事業 Fellow)というデータサイエンティストに入ってもらっている安心感もあります。

ただエンジニア以外のデータチームのキャリアを考えていくというのは、いろいろ悩んだり考えたりした部分はありましたね。

エンジニアチームが「自己組織化する」ということ

赤澤:
CTOがCEOになるっていう新しいチャレンジをしているのはすごいなと思っているのですが、背景にはエンジニアチームからも背中を押ししてもらえるところがあったんじゃないかと思います。CTOもチャレンジできるような、自走するチームづくりってSaaS事業ではどんな感じなんですか?

林:
今「自走」という表現をされたかと思うんですけど、僕たちSaaS事業のプロダクトチームは、「自己組織化」という表現をよく使っています。

赤澤:
「自己組織化」、めちゃくちゃ耳にします。

林:
SaaS事業のプロダクトチームではアジャイル開発を取り入れているのですが、その上で自己組織化ってすごく重要なことなんです。自己組織化されている組織はスケールもしやすいし、柔軟性も高いだろうという思いでずっと取り組んできて。

まだまだ当然伸びしろはいっぱいあるんですけども、ある程度自己組織化されている状態なので、別に僕がいなくなっても回る状態になっていたんですね。僕がいないと回らないです、と思っているメンバーってたぶん1人もいないのではと思います。

赤澤:
めちゃくちゃ理想ですね、それ。

林:
CTOの役割としてエンジニア組織の運営もあると思うんですが、そこもやりたい人を募って、どんどん任せていってるんです。2年前ぐらいから、たとえば予算やOKR設定、ゴールセッティング、評価をどう進めていくのかというのもチームに任せるようにしてきました。あとは1on1だったり、New Joinerが入ってきたときにどういうかたちでオンボーディングしていくのがいいのかだったり、組織を良くしていくことを考えるチームだったりもあります。

2年ぐらいかけて、自分たちで考えて、自分たちで組織をよくしていくという体制を少しずつ作ってきていました。なので僕が、「他のことをやるよ」と言っても、何かが止まるということは、ほとんどなかったかなという感じです。

イイダ:
すごいです。

赤澤:
そこまで任せているとは思っていなかったので、ちょっとびっくりしました。

「任せる」ことの難しさ

赤澤:
とはいえ実際、けっこう大変だったんじゃないですか?今まで自分で決めていたものをメンバーに委ねるって。メンバーがポジティブに受け止めてくれたけど苦労したとか、逆にぐっと成長したとかあるんじゃないかとか、やはり何かあったんですか?

林:
ありましたね。2年前にスタートした当初は、カルチャーを考えるチームとか予算を考えるチームとか、たぶん1個か2個ぐらいしかチームを作らなかったんです。チームといっても当然、日々はプログラミングのタスクをこなしているわけなんですけど。

半年間やってみて、うまくいったのが予算チームだけだったんです。それ以外のチームは役割が明確ではなかったり、僕の預け方も中途半端だったりして、うまくいったのは全体の半分ぐらいだったんです。

そこからいろいろと改善を回していって、今に至るという感じです。やっぱりメンバーも「じゃあ予算を見ます」「がんばって」って言われても、なかなかハードルが高いじゃないですか。

赤澤:
そうですよね。やったことないぞ、ってなります。

林:
なのでそのあたりの苦労はあった感じです。ただモチベーションは高く持ってもらえていたのではないかなというのと、「経営的なことをできるようになると評価にもちゃんと紐づくよ」というのを設計したんです。

赤澤:
めちゃくちゃいいですね、わかります。首がもげるぐらい頷く案件という。

イイダ:
赤べこ並みに(笑)

林:
単にお願いするだけだったら僕がサボってるみたいな感じになるので、それができるようになると評価にもプラスになって、タイトル(職位)も上がっていくというのをセットで進めてきているので、そのあたりはモチベーション高く保てているのではないかなとは思います。

キャリアとしてCTO/CEOをイメージした瞬間

イイダ:
林さんは、どういったときにいちエンジニアから、CTOやCEOというちょっと上のレイヤーのことを意識し始めたんですか?

林:
そういう意味だと、CTOになろうと意識したことはほとんどないですね。最初は2018年に当時SPEEDA事業の責任者だった太田さん(智之 / 現・ユーザベース 執行役員 事業開発担当)から「林さん、CTOにならない?」って、お風呂に入ってるときにSlackで言われたのがきっかけで、そのときは断ったんです。

イイダ:
そうなんですね。

林:
最初、断ったんです。僕が適切だと思わないというのと、僕でいいんだろうか?という思いもあって。最終的にいろいろとSlackをやり取りして、細かい文言は覚えていないですけれども、「これは業務命令です」みたいな感じでした(笑)。

赤澤:
押し切られてるじゃん(笑)。

林:
ただCTOになったからといって変わったことは、あんまりなくて。経営会議的な場所で意見をするみたいなのは、その当時からしていたので。普通にプログラミングをして、アジャイル開発をやって、組織も良くしていったらCTOという肩書きがついた、みたいな。そんな感じなんです。

今回UB DatatechのCEOになったのも、「CEOになりたい」とか「社長になりたい」と思っていたわけではなくて。SPEEDAに関わっていたずっと前からやりたいと思っていたことがあり、それを実現するための手段として、今回のCEOがあるみたいな感じです。なので僕の中ではずっと延長線上なんです。


林へのインタビュー全編は、Meet UB TechのPodcastでお聞きいただけます。
エンジニアのキャリアと組織についてもっと聞いてみたいという方は、以下のリンクから番組本編をぜひお聴きください。

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