ユーザベースでは、「エンジニアリングを起点に、誰もがビジネスを楽しめる世界を実現したい」という想いから、2022年4月より「Play Engineering」というプロジェクトを推進しています。
このプロジェクトでは、エンジニアではない職種のメンバーも楽しくエンジニアリングを学べる研修の実施や、保有するエンジニアリングスキルのレベルによって手当が支給される制度「プラスエンジニアリング手当」の導入など、さまざまな取り組みをおこなっています。エンジニア以外の多様な職種のメンバーたちにも、エンジニアリングに慣れ親しみ、業務に活かしてほしいという目的もあるため、上記の施策は全社員が対象となっているのも特徴です。
今回は、プロジェクトの一環として2022年6月に開催された社内イベント「親子プログラミング教室」についてレポートします。
- 初の「親子プログラミング教室」がスタート!
- 教育用プログラミング言語を使ったゲーム作成に親子でチャレンジ!
- 答えは一つではない?より複雑な問題にチャレンジ!
- アレンジを加えたオリジナルゲームを発表
- 誰もがエンジニアリングを楽しめる世界へ
初の「親子プログラミング教室」がスタート!
社内イベントとしては初めての開催となる「親子プログラミング教室」。今回の対象は小学2年生以上のお子さんがいる社員です。日曜日の午後、会場の東急プラザ銀座内「NewsPicks GINZA」に続々と親子が集まってきました。
今回の講師は、小副川健(オソエカワタケシ)さん。SaaS事業のフェローで、機械学習を応用した機能を開発しています。小副川さんは、これまでも子供むけのプログラミング教室を開催したことがあるそうですが、今回は親側の社員にもエンジニアリングを体感してもらうというテーマが新しいと言います。
教育用プログラミング言語を使ったゲーム作成に親子でチャレンジ!
さて、授業が始まると、早速プログラミングツールにアクセスしていきます。今回使うのはScratch(スクラッチ)という、Scratch財団がマサチューセッツ工科大学メディアラボ ライフロングキンダーガーデングループ(MIT Media Lab Lifelong Kindergarten Group)と共同開発した教育用のプログラミング言語。世界で約9000万人の登録ユーザーがおり、NHKのプログラミング番組にも登場したこともあるそうです。ブロック言語の一種で、プログラムブロックをドラッグ・アンド・ドロップすることでアニメーションやゲームを直感的に作ることができます。
今回作るのは、マウスのポインターを猫が追いかけ、猫がボールを取ったら1点が加点されるゲームです。10秒間の間にどれだけ点を取れたかを競うというものを、プログラミングしていきます。左側のブロックを選んでコードエリアに配置していきますが、この時、日本語を「動きをコントロールする言葉」に翻訳していくのが、最初のハードルです。プログラミング的な考え方に慣れる必要があります。
例えば、最初に設定する「猫がマウスを追いかける」という動きをプログラミングするには、次のような組み立てが必要です。
①「10歩動かす」のコードブロックを入れる
→少し動くだけで、歩いている感じはありません。歩いている感じを出すために次のステップでアニメーションをプラスします。
②「次のコスチュームにする」のコードブロックを「10歩動かす」のコードブロックの下に配置
→そうすると10歩動いた後で、次の絵になるので、歩いているように見えます。
③「ずっと」のコードブロックを持ってきて、①と②のコードブロックを中に入れる
→猫がダッシュし続けるようになります。
④「緑のはたが押された時に」のコードブロックを③の上位に入れる
→緑のはたボタンをクリックしたら猫が走り出すようになります。
⑤「〜へ向ける」というコードブロックを追加(今回はマウスのポインター)
→右に動くだけだったのが、マウスのポインターについてくるようになりました。
猫の動きが出来上がったら、次はボールの動きです。スプライト(登場アイテム)の一覧からボールを追加し、「猫がボールに触れたら、どこかに移動するようにする」という動きを作っていきます。
慣れない作業に黙々と画面と格闘する参加者ですが、なんとか全員が作り終わり、前半が終了となりました。
休憩明け、参加者にここまでの感想を聞いたところ、「猫が可愛い」「一回やったことがあるから、すぐわかった」「家で他のアプリでやったことがあるけど、猫が触ったらボールがどこかにいくという動きが初めてで面白かった」などという声が。参加者にプログラマー志望という子はいなかったにも関わらず、ある程度の経験や知識がある子が半数おり、今の子どもたちにとってプログラミングが身近になっていることがわかりました。
答えは一つではない?より複雑な問題にチャレンジ!
休憩時間が終わると、次は条件を設定していきます。「得点を1ずつ変える」というブロックを使いますよ、という小副川さんのヒントをもとに、それぞれが自分で入れる場所などを考えます。
前半と異なる、答えを自分で考えるという新しい体験に、子どもも大人も真剣な表情に。親子で一緒に考える姿がとても印象的でした。
そして、正解発表。実は、正解は一つではありませんでした。「プログラミングでは、ある動きを作るための答えは一つではなくて、いろんなパターンがあることがある。人と違っても大丈夫。」と小副川さん。その後、ゲーム自体の設定を、それぞれが考えながら作り込んでいきます。
①タイマーを使って10秒間だけゲームができるようにする
②ゲームが終わったら得点をリセットする
③ゲームが終わったら「XX点」と猫が言う
④点数が高い場合はすごいね!と猫が言う
ここまで終わったら、ようやく完成です。参加者もだいぶ慣れたようで、猫のセリフをアレンジしたり、背景を変えたりなどの余裕のある親子も出てきました。
ここで、小副川さんがプログラミングの基本をおさらいします。
アレンジを加えたオリジナルゲームを発表
最後はお楽しみパートとして、自分だけのゲームを作っていきます。背景やセリフだけでなく、キャラクターを変えたり、ボールを増やしたりなど、皆思い思いに操作し、独創的なアレンジを加えていきます。真剣だった前半に比べて、笑い声が会場にあふれてきました。
作ったゲームの発表では、「猫がもう一つのキャラクターに触ると減点されて、『ひひひ』と言うゲーム」「ボールに当たるごとにボールが徐々に大きくなる」といったように、元のゲームに独創的なアレンジを加えたゲームが出来上がり、小副川さんも子どもたちの「こうしたい」という想いが形になったことに感動していました。
中でも発表者のうちの一人の女の子は、初めてのプログラミング経験だったそうですが、若干の戸惑いがあった前半からぐんぐん成長し、「出来るかなと思ってたけど、とても楽しかった」と話していました。
また、後日親側の参加者である社員からも「自分のPCが欲しい!と娘が言い始めました」という声や、「小学校でもScratchを使用したプログラミングの授業を受けていたようで、学校以上の体験ができ喜んでいました、帰宅後は、主人に自分なりに工夫したことなどを伝えており、今度は違うものを作ってみようと話しています!」という嬉しい感想が聞けました。
誰もがエンジニアリングを楽しめる世界へ
ユーザベースは、「エンジニアリングには、みんながやりたいことへ挑戦できる余白を生み出す力がある」と信じています。だからこそ、「Play Engineering」プロジェクトを通じて、この力を活用できる土台を作り、強い意思をもって人の個性とチームの可能性を最大化したいと考えているのです。
今回参加したメンバーは、エンジニアでない職種の社員も多かったのですが、「通常の業務的にはプログラミングは遠い存在だが、感じていた壁がなくなっていくいいきっかけになった」という感想もあり、まさに「Play Engineering」らしい取り組みになったと感じています。
親子プログラム教室は、「うちも小学生ではないけれど、参加したかった!」という社内メンバーの声に答え、次回は対象年齢を少し下げて夏にも開催する予定です。「Play Engineering」プロジェクト、これからもお楽しみに。