自己組織化の力(Product Team 2022年1Qキックオフ)

Product Teamの野口です。
ユーザベースのB2B SaaS事業を推進するProduct Teamでは、四半期に一度キックオフを行っています。

そんな一日の様子をレポートします。
Product Teamがどんなチームなのか、普段の仕事とはまたちょっと異なるキックオフの一日をお見せすることで感じてもらえるといいなと思っています。

キックオフのはじまり

Zoomには、既に大勢が集まっている。

僕が所属しているユーザベースのProduct Teamの人たちだ。Product Teamには、SPEEDAFORCAS、INITIAL、MIMIRといった多数のB2B事業を推進するエンジニアたちが集まっている。
今日は、それらの人たちが一同に会して一日がかりで行うキックオフの日なのだ。

きっと、キックオフチーム*1が充実した内容を考えてくれていると思う。
だから、とても楽しみだ。

キックオフチームのTさんがにこやかに話し始める。

「集まりましたかね。それじゃ始めていきましょう!」

今日のテーマは、「Product Team全体で採用・ブランディングの意識を高め2022年度に向けて最高の仲間を増やしていく」ということらしい。
どんな一日になるかな。

CTO/Fellowへのn個の質問

今日の最初のコンテンツは、「CTO/Fellowへのn個の質問」だ。
先週から、みんながCTOの林さんやFellow*2の面々に聞いてみたいことをsli.doで集めていた。

みんなからは、さまざまな質問が飛び出す。

「新卒採用についてはどう考えていますか?」
「今年組織として技術的に挑戦していきたいことは何ですか?」
「Fellowとしてのコミットメントラインと、チーム活動の両立の難しいところはありますか?」

前回までは「CTOに物申す」という、CTOへの(不満や改善要望も含めた)フィードバックの場だったこのコーナーだが、今回毛色を変えてFellowを含めたセッションになった。
前回までの面白みの一つだったCTOとの直接対決*3感は減ってしまったが、その分Fellowの面々のさまざまな側面を知ることができて充実した時間になった。

採用OST

お昼を挟んで午後イチのコンテンツは、採用についてのOST*4になるらしい。

これはすごく楽しみだった。

まず、これだけの人数(100名近く)でOSTをやったことがなかったし、ふだんチームが分散してやっている「採用」について本当に「みんなで」考えるという体験がどういうものになるのか、期待が大きかったのだ。
トピックはやはり事前に募集していて、20近くが集まっていた。

OSTは、普段仕事をしているGather*5で行う。集まる場所をその場で各々決めていくのはさすがに難しいため、予め採用チーム*6がトピックごとに場所を準備してくれている。

「どれにしようかなあ……。あ、この"長期的にどんな組織にするために採用するか?"っていいな。これにしよう」

僕も一つトピックを選んで、そのテーブルへと向かった。

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用意されていた会場の一つ。今はみんな帰ってしまったからちょっと寂しい

話している内容は、Miroで付箋を使いながら視覚化していく。
実に20近いトピックについて、100名近い人たちがいっせいにそれぞれ話をしている。Miroで100近くのカーソルが同時に動いている。これは壮観だ!

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OSTでみんなが可視化した会話の内容

僕のいるグループでも、その場にいた人たちが、それぞれ「どんな組織にしたいかな?」「ワクワクする話がしたいよね」「そもそもなんで人を増やしたいんだっけ?」など、各々の思いや課題意識を語り始める。この時間で色々な人の思いを聞くことができたし、自分が何となくモヤモヤしていたこともいくらかクリアにすることができた。

初めはいろんなテーブルを渡り歩こうと思っていたが、話題が尽きず、結局一箇所で時間を終えてしまった。でも、それでもいい。 OSTで何をするかは自由なのだから。

OSTがこんなに面白いとは知らなかった!

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OSTでの学びや感想

ブランディングチームワークショップ

休憩を挟んで、ブランディングチーム*7によるワークショップが始まる。
題して、「テックブログの成長に必要なものって、なんだろう。」*8

ユーザベースではいま技術ブランディングを特に強化しようとしていて、その一環での取り組みだ。
今までブランディングチームが中心となって進めてくれていたが、キックオフの機会を活用してみんなを一気に巻き込んで、当事者にしようというのだ。

そもそもブログを書くと何が嬉しいのか、どうすればブログが活性化できるか。あるいは、ブログ以外で技術ブランディングしていく道はないのか。ここでもGatherを使っていくつものグループに分かれて、それぞれ考えた。

結果、個人や数人のグループではとうてい出なかったであろう多様な意見や、アイデアが山ほど出た。
実は、僕は以前に採用の施策やブランディングに少し関わっていたことがあり、色々考えたこともあったのだが、そのときに考えたこととは比にならない量と質だった。

これがこの大きなProduct Teamの力であり、トップダウンや予定調和にはない、自己組織化の力か。OSTのときにも感じたが、改めてそれを感じることになった。
ここで出たアイデアは、ブランディングチームが持ち帰って整理し、特に有望なものから取り組んでいくことになるだろう。それに、各個人のブランディングに対する意識の持ち方もそれなりに変わったんじゃないだろうか。*9

林さんの部屋

この時点で、もう充実した一日だったと感じている。
そんな中始まる今日最後のコンテンツが、CTOである林さんからの話だ。

成長とともに変わり続けるProduct Teamについて、大きな今後の見通しが得られるから、毎回のキックオフの中でも僕が特に好きな時間の一つだ。
今日の話題は、林さんがなぜアジャイルに取り組もうと思ったかという原点の話から、心理的安全性の本来の意味*10、そしてDiversity & Inclusion(多様性と包摂)へと話は進んだ。

いわく、企業組織におけるD&Iは経営戦略である。
ゆえに、なんの制限・制約もなくすべてを「Diversity」という名のもとに受け入れるわけではなく、ミッション、パーパス、ビジョン、バリュー、カルチャー等、組織が大事にしているものを「土台」として考えることになる。(ただ大事なこととして、これらの土台に沿っていない人・組織が「悪い」わけでは決してない。ただ、違うだけ)

Product Teamにおいては、一番下の土台としてユーザベースのパーパス、バリュー、カルチャーがあり、その一つ上にProduct Teamのミッション*11やビジョン*12、さらにはバリュー*13やカルチャーがある。
そして、その上に初めてD&Iが成り立つ、という考えを説明した。

ミッションやカルチャーへの共感がある限りにおいて、多様な才能を受け入れ、チームが強くなることによってさらに大きな成果を実現していきたい。そういったことを、僕としても改めて確認することができた。
そして、このテーマに簡単な答えはなく、考え続けていく必要がある。

そんなことを考えながら、一日を終えた。(そして、今ブログを書き終えた)

自己組織化の力

一日の様子は以上です。

最後に、この一日をふりかえって考えたことをかんたんに記しておきます。
それは自己組織化の力についてです。

Product Teamでは、自己組織化を重要なキーワードと考えて、日々その実践につとめています。
キックオフチーム、採用チーム、ブランディングチームといった組織経営が志願制のチームで成り立っているところもそうですし、今日のOSTなどはまさにその場が自己組織化そのものといえます。(100人近くがGatherやMiro上で一斉に思い思いのトピックに散らばっていく様子、すごく面白いですよ)

以前から取り組んできていたことではありますが、それが結実している様子にはちょっとした感動を覚えます。
もちろんそれ自体が本来の目的なわけではなく、Product Teamとして(ミッションである)「技術力で、ビジネスをリードする」ことを実現するのが目的なわけですが。

ただ、あくまで僕個人としての考えですが、自己組織化の力が(一種、目的の一つとも捉えたくなるくらい)好きなんだと思います。それは権力が嫌いなことの裏返しでもあって、「(チームで)大きなことを成し遂げたいが、権力は使いたくも、使われたくもない」からです。その状態を実現するための一つの有力な手段が、自己組織化だと個人的には考えています。

そして、今日はその力の一端を垣間見ることができたすばらしい一日でした。
おしまい。

*1:私たちユーザベースProduct Teamでは、組織経営のさまざまな部分が権限移譲され、有志のチームで執行している。キックオフチームはそのうちの一つで、キックオフの企画から運営まですべてを担ってくれている

*2:ユーザベースでは、経営への直接的なコミットメントは求められないが、役員と同等の待遇で迎えられる技術職としてFellowを置いている。なお名誉職や研究職ではなく、チームでみんなと一緒に働いている

*3:もちろん、別に対立しているわけではない。ただ、みんなも巻き込みながら面と向かって議論できる機会という意味で面白かった

*4:OSTというのはOpen Space Technologyの略で、あるテーマを話すために集まった大人数が、そのテーマに関する複数のトピックにそれぞれ自由に集まって、自由に話す。トピックの移動(出入り)もいつでもオッケー。

*5:ファミコンみたいなグラフィックの、バーチャルオフィスサービス。Product Teamがリモートで仕事をするときは、ペアプロやミーティングも含めてほとんど常にここで活動している。

*6:前述の経営に関わる有志チームのうちの一つで、採用に関する施策の検討や意思決定を行うチーム。なお、面接などの採用活動そのものはProduct Teamの全員で行っている

*7:やはり、有志の経営チームのうちの一つ

*8:最近リニューアルされたテックポータルのキャッチコピーをもじっている。テックポータル、いいので見てください: https://tech.uzabase.com/

*9:ちなみに、僕がいまこのブログを書いているのも、その場で「ブログを書くハードルが上がっているのではないか?」といった問題意識があがっていたから、とりあえず書いてみるか、と思って勝手に書き始めたのであったりする

*10:「チームが対人リスクをとるのに安全な場所であるとの認識をチームメンバーが共有する状態」。

*11:「技術力で、ビジネスをリードする」

*12:「阿吽の呼吸で走り、進化する流体的組織」

*13:コミュニケーション、シンプルさ、フィードバック、勇気、リスペクト。XPのValuesと同じ

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