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ニューズピックスの一人目QAが一年目をふりかえる

ニューズピックスの西薗(にしぞの)です。一人目のQAエンジニアとして入社したのが去年の6月なので、そろそろ一年です。かれこれ5年ほどはQAエンジニアとして働いていたものの、「一人目QA」も「自社サービスのQA」も「組織を作る」も全て初めてのことで、入社以来、なかなかに苦労しました。いろんな方の助けをいただきながら、進んだり戻ったりしつつ、なんとか少しずつ成果が見えてきた今日この頃です。

本稿では、この一年でやってきたことを4つのフェーズでまとめておこうと思います。

成果を急ぎ、苦手なことを頑張った

入社して暫く、まずは各チームのリーダーに話を聞いて回り、QA組織の目標を立てました。バグチケットがとっ散らかっており、さらにあっちこっちからバグ報告が来るので、優先度を考える余裕もなくなんとか時間を作って対処している……というような話を聞いて、そこの交通整理をすることにしました。他にもいくつか、似たような、全社をターゲットにした類の目標を立てました。

しかし、それらが絵に描いた餅を超えることはなく、時間だけが過ぎていきました。

思い返せば最初に立てた目標は、自分の能力を度外視したものだったように思います。なにせ私自身、もっぱら現場で走り回ってきたQAエンジニアであり、プロセスだの標準化だのが得意なわけでも、経験豊富なわけでもありません。もっとプロダクトを触りまくるべきでした。もっとテスト環境やプロダクトを知り、開発が抱える課題を腹落ちさせることに時間を使うべきでした。

一つ目の成功体験

立てた目標がイマイチ上手く実を結ばないことに少し焦りつつ、とりあえず見てほしいと言われたプロジェクトがあったので、参加しました。プロジェクトに入ってしまえば私の得意領域。仕様を整理したりバグを見つけたり、他にもテストに限定せず、エンジニアたちのお手伝いをしました。結果的にここではそれなりの働きをすることができたと思います。小難しいことを考えて悩むよりも、ちゃっちゃと手を動かしている方が私の性に合っていたようですね。

また現場でテストをする中で、知らない仕様をコードを紐解きつつ調べたり、テスト環境をこしらえたりしているうちに、ニューズピックスというものの解像度が自分の中で上がってくる感覚がありました。

成功のパターン化

前回のプロジェクトがうまく行ったので、他2つほど大きなプロジェクトから声をかけて頂き、現場入りしました。ここでは残業も土日出勤も上等というなかなかの環境でしたが、私自身はやっていて楽しかったです(全てのプロジェクトがそう、というわけではありません。念のため)。結果的にプロジェクトは上手くいきましたし、一緒に参加した二人目QAも大活躍で、プロジェクトのメンバーからはたくさんの「ありがとう」を頂きました。成功パターンを確立できた、という感触が得られたプロジェクトだったと思います。

成功パターンを捨てる

そんなこんなで、ぜひうちのプロジェクトに、と声をかけてもらうことは着実に増えてきました。QAチームとして実績が積み上がり、信頼もされてきたのかなと思います。その一方で、まだまだ一緒に仕事ができていないチームもあり、そこはそこで品質課題が眠っている状態なのですが、いかんせん手が回りません。やはり何十人という開発者に対してQAエンジニアが二人では、できることに限界があります。ならば人を増やせばいいのかというと、いまのままでは個人の力量に大きく依存するスタイルにならざるを得ず、QAも採用難の中、なかなか悩ましい。

そこで、お願いされた仕事を片っ端からやるというスタイルから少し軌道修正。品質リスクの高そうなプロジェクトをこちらから見つけ、そこに集中するというスタイルを始めました。がむしゃらにテストをこなしていれば、感謝もされて、成果も得られる……という成功パターンを捨てての挑戦です。これを試し始めてまだ日が浅いので、うまくいくのかは分かりませんが、しばらくやってみます。

なお、プロジェクトに入ってテストする時間を自分達でコントロールし始めたことで、他の品質活動を計画的に進められるようになりました。品質活動というと大仰ですが、私が感じた、ニューズピックスの抱える課題をひとつずつ潰していく、というものです。入社当初に立てた目標と比べると、プロダクトに対する解像度は上がり、エンジニアとの関係性もできてきて、また個々の課題にも実感が伴ったことで、かなり芯を食ったところに手を付けられているように思います。とはいえ、こちらも無事に収穫が迎えられるかどうか。ダメだったらまた、がむしゃらにテストしまくって土を耕すところから再スタートするかもしれません。

おわりに

こんな調子で、QAコンサルタントと呼ばれるような方々からすればえらく遠回りの一年に見えそうですが、なんとかやっています。振り返ると、自分を必要以上に大きく見せようとして、QAに関することならなんでもできますという顔して無理をした結果の遠回りだったのかなと思います。その遠回りのおかげで、いまは自分の得意なことをメインに据えつつ、空いた時間でちょっとずつ挑戦をするというバランスに落ち着くことができ、精神衛生上も、成果を得るという意味でも、いくぶん良い感じになってきたように思います。こんな私の右往左往に付き合ってくれるニューズピックスには感謝です。

最後に私なりに学んだことを一つ挙げると、とにかくプロダクトに触れ、テスト環境を使い倒し、開発プロセスに浸かり、エンジニアと一緒に仕事をし、そうやって現場が抱える課題を自分ごととして捉える……というのが、私というQAエンジニアにあったQAの始め方なのだということですね。課題ヒアリングをして回って、入社1ヶ月で現場の課題をガンガン解決できるような方もいると思いますが、私には合いませんでした。結局は人それぞれで、自分に合ったやり方を見つけるしかなく、上記の私の例も、誰の参考になるわけではないのだと思います。

以上、私の、ニューズピックスでの一年目をまとめてみました。一人目QAの、大成功でもないひとつの例として、何かの参考になれば幸いです。

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