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ユーザベース、データ分析活用を業務の意思決定に活かす仕組み創りを推進──Tableauを使ったデータ可視化・分析研修を開催。

こんにちは。ユーザベースTech Brandingチームです。

先日社内で開催したセルフサービス型BIツールであるTableauを使った「データ可視化・分析研修」の様子をイベントレポートとしてまとめました。

新型コロナウイルスの流行、自然災害、AI技術の急激な進化──環境が目まぐるしく変化し、将来の予測が難しい現在のビジネスにおいて、データドリブンな意思決定や業務改善がますます重要になっています。それを受け、2012年ごろから既に国内に普及しつつあるBI(ビジネス・インテリジェンス)分野のトレンドもここ数年で新たに変化し、よりスピーディで柔軟性の高いセルフサービス型へ注目が集まるようになりました。

「経済情報の力で、誰もがビジネスを楽しめる世界をつくる」ことを目指すユーザベースにおいても、もちろんそれは同じです。アジャイル経営を実現する機能として、データ基盤の整備と全社的なデータ活用カルチャーの醸成が必要と考え、社内にも普及活動を行ってきました。

今回は、その一環として実施された、セルフサービス型BIツールであるTableauを使った「データ可視化・分析研修」(株式会社セールスフォース・ジャパン、株式会社キーウォーカー主催)をご紹介します。 当日はオンラインとオフラインのハイブリット式開催で、44名の社内メンバーが参加しました。

ユーザベースのデータ活用の現状は「やる気があるが、ケイパビリティが足りない状態」

最初に、社内のデータ活用普及を推進する執行役員CDXO(Chief Digital Transformation Officer)兼 UB Researchディレクターの張替より、この研修開催の背景と、ユーザベースのデータ活用の現在について説明がありました。

張替 誠司 SEIJI HARIKAE

株式会社ユーザベース執行役員CDXO 兼 UB Researchディレクター

東京大学大学院理学系研究科およびテキサス大学経営学修士課程(MBA)修了。三菱UFJモルガン・スタンレー証券に入社し、クオンツ業務、内部統制統括業務、およびM&Aアドバイザリー業務に従事。2019年にユーザベースに参画。FORCAS事業コーポレート業務に従事した後、B2B SaaS事業コーポレート担当執行役員、執行役員COOを経て、2023年2月から現職。

ユーザベースでは、アジャイル経営を実現するために、全組織で自律的にデータ分析できる環境と、それを活用した意思決定の仕組みを構築しようとしており、ハード面・ソフト面の両方からアプローチをしています。

ハード面とはつまりデータ統合・連携基盤のことを指し、例えば複数存在するSalesforceアカウントのデータを一元化し、権限に沿ってクロス分析ができるようにすることなどが活動として挙げられます。一方ソフト面とは、「意思決定のためにデータを活用する」というカルチャーづくりを指します。社内ヘルプページや研修の提供や、データ活用のユースケースの共有を通じ、メンバーが意思決定においてデータを重視し、実践できるような仕組みづくりをしているのです。

ちなみに、2023年の3月末に行った組織のデータ活用レベルを測った「Tableau Blueprint アセスメント結果」によると、現在のユーザベースは”データの価値への理解とやる気があるが、ケイパビリティが足りない状態”とのこと。データカルチャーの導入まではできているが、まだまだ成熟していない段階という評価です。

データ活用をさらに進めるためには、社内のさまざまな業務におけるユースケースに応じてデータ基盤を整備し、実際にその基盤を使ってメンバーが分析し、それに基づいて意思決定をしていくことが必要です。今回はそのような背景から、セルフサービス型BIツールであるTableauを使った「データ可視化・分析研修」を、全社員向け(自由参加)に開催することになりました。

なお、データ活用のためのステップとしては、課題の特定からデータ収集、加工から解釈までいくつかのフェーズに分けられます。今回はデータの解釈が中心となりますが、事前に参加者から期待値として挙がっていた必要なデータの把握やデータ収集、分析手法については、研修後UB Analytics Teamがリクエストに応じてサポートしていきます。

Tableauのダッシュボードを見て、経営者の視点で売上向上について考える

ここからは、実際にTableauの画面を見ながら、チームに分かれてワークショップ形式でデータ分析を体験していきます。

1回目のワークショップの議題は、あるダッシュボードを経営者の視点から見て「これが何点か?」を議論するというものです。ダッシュボードには「商談取引先」「売上金額」「担当者」などの要素が入った複数の表やグラフが一見綺麗にまとめられておりますが、よく見ると必要な情報が網羅されていないことが分かります。

例えば、あるチームでは以下のようなことを改善ポイントとして挙げ、50点と点数をつけていました。

・商談数が足りないのか、受注率に問題があるのかが分からない ・目標値、前年との比較が欲しい ・営業チームごとに見れたら良いのでは? ・受注単価も欲しい

実際に体験して感じるのは、問題解決の糸口が分かりにくいと意思決定に繋がらないということです。データ分析において、それを使う人が「見るべき指標が入っているか」「インサイトが得られるビジュアライゼーションになっているか」が非常に重要ということが分かります。

<ダッシュボード作成時に重要な要素> ・誰が、いつ、どのような用途で見ることを想定して作っているか ・データを見た結果、次のアクションに繋がる情報が理解できるか ・KPIがダッシュボード内に記載されているか ・デザインや色使いは適切か

ビジネス推進に影響のあるインサイトを導くための指標を逆算的に考え、ダッシュボードを設計していくことが、意味のあるデータ分析につながるのです。データ分析のステップが「課題の特定」からスタートすることに納得したワークショップとなりました。

ワークショップの最後には、様々なTableauのダッシュボードサンプル画面が紹介され、参加者からは「これ欲しい」という声も。最近では、自社利用だけでなく、エンドユーザーに提供する会社も出てきているとのことで、ユーザベースでもいろんなシナリオでのダッシュボードが作成できるのではという可能性を感じました。

あるホームセンターで、利益率が低い理由は?データから原因を探る方法

2回目のワークショップの議題は、ある全国系ホームセンターのダッシュボード(デモ用)を見ながら、利益率の低い都道府県はどこで、なぜ利益率が低いかの仮説を立てるというものです。参加者は、エリアマネジャーになった気持ちで、チームに分かれ議論を進めていきます。

あるチームでは、都道府県ごとの利益率を日本地図ビューから棒グラフにし、さらに注文ごとにドリルダウンすることで以下のことが分かりました。

・北海道・千葉県・静岡県などはどのカテゴリにおいても割引率が平均して高い ・利益がマイナスとなっている注文が静岡県に多い ・山口県は売上高が少ないため、利益の影響が大きい

ここからその原因の仮説を立てていきます。例えば、どのカテゴリにおいても割引率が高い県では、割引が定常化しており、そのことが利益を圧迫している可能性があります。仮説を考える中で要点が整理され、課題や問題点をより明確に把握できるようになります。(なお、実際のビジネスにおいては、該当エリアの担当者にヒアリングというプロセスが入る可能性もあります。)

仮説を立てたチームは、その仮説に対する改善案を考えます。ちなみに、このチームメンバーの中には、実際の業務で「初期費用かからないというオファーが定常化していたときに、それありきでないと決められない組織規模の取引先には、売り込みをかけないと決めた」ことがあったということで、取引先の規模分析を進めていました。

このように、数字データが意味することを解釈し、コンテキストを与えることをデータストーリーテリングと言います。そのデータがビジネスにとって実際どのような意味があるのか、そしてそこからどのような行動指針が導き出せるのかを説明することは、データドリブンな意思決定において非常に重要な要素です。そのことは、Gartnerが「2025年までに、データストーリーが、アナリティクスの使用方法として最も普及している」と予測していることからも分かります。

全社員が、セルフサービスBIツールを使ったデータと分析に基づき、「データストーリー」を語れるようになることーそのことが、ユーザベースが目指すアジャイル経営を実現する必要な要素だと私たちは考えています。

それぞれの業務で考えられる、Tableauを使ったデータ活用法

最後のワークショップは、それぞれの参加者が。実際の業務でどのようにTableauを活用できるかを考えるというものでした。

NewsPick Stage.メンバー

・番組のスポンサーに対する提案の際、スポンサーが狙いたい層が番組を見ているかというデータを作成できるのではないか。

・お客さんが気にするのは「どのくらい反応があるか」「どういうリードが取れるか」なので、近い企画があった時のデータなども簡単に出せると良い。

SPEEDA メンバー

・広告がどのくらいみられているかを現在スプレッドシートで管理しているので、Tableauに移したい。

・その際にどんなことを見たいかというニーズを営業にヒアリングしたい。

FORCAS メンバー

・お客さんがTableauを使っており、知識を得るために参加したが、来季の営業計画立案がもっと簡単にできそうだと思った。

・担当テリトリーの中でどこにチャンスがあるかを、データを深掘りして探したい。

データを活用した経験がないと、その価値が分からず、なかなかデータ活用が進まないというネガティブサイクルが続いてしまいます。今回のワークショップでは、実際にデータ分析を体験することで、多くの参加者がその可能性を実感し、自身の業務に活かす道筋を描くことができたのではないかと思います。

事後アンケートでは以下のようなコメントがありました。

・データの基礎や見るべき観点がわかった。また、他事業部の人とも交流できいろいろな視点が勉強になった。

・UBの現状を知れたのと、グループワークで色んな視点でデータを見る事ができた

・なぜこのような研修が実施されたのか、Tableauがどのようなモノなのか、どのように情報を分析していくべきなのか等を知ることができた

ユーザベースでは、これからも、全社的なデータ活用カルチャーづくりを進めていきます。

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