初めての1on1コーチ体験記

こんにちは。株式会社ユーザベース スピーダ事業でエンジニアをしている竹澤です。

近年、多くの企業で1on1が導入され、その重要性が注目されています。スピーダ事業では、年次やタイトルに関係なく、コーチもクライアントも行います。

今回は、私が初めて1on1のコーチを担当した7回のセッションを通じて、どのようにコーチングスキルを身につけていったかを振り返ってみたいと思います。コーチング初心者の方や、これから1on1のコーチに挑戦してみたい方の参考になれば幸いです。

なぜ1on1コーチを始めたのか?

コーチングを始めたきっかけは、以前同じチームだったメンバーからのフィードバックでした。毎回の360°フィードバックで「1on1のコーチをやってみたらどうですか?」と書いてくださり、始めてみようと思いました。

実際にコーチを始める前には、1on1チームの皆さんが用意してくれたスライドやノートを読み込み、準備しました。

コーチングスキルをあげるための工夫

とにかく 「フィードバックをたくさんもらおう」 と意識していました。1on1のペアを決めるために実施されているアンケートにも「コーチが初めてなので、慣れている方とペアになりたいです」と記載しました。

毎回1on1が終わった後に、自分自身がコーチをしてみて感じたこととクライアントからもらったフィードバックの2つを「日記」のようにメモしています。これを読み返すと、成長を実感できて、自己肯定感にも繋がっていると思います。

また、クライアントからもらったフィードバックを「次の週で直す」意識を持つと、毎週1つずつできることが増え、楽しく取り組むことができました。

ここからは、クライアントからのフィードバックと、私自身の気持ちの変化を毎回の1on1毎に振り返ってみたいと思います。

クライアントからのFB

1回目

自己紹介から始まり、クライアントの目的や求めていること、1on1の頻度を確認しました。初回の1on1は、話す内容が決まっているので、特に困ることはありませんでした。

初回だったので、クライアントに対して「フィードバックが欲しい」とお願いしました。

2回目

どうしてもティーチングに傾いてしまう自分に気づきました。 ティーチングが良くないと頭ではわかっているものの、「〇〇するのはどうですか?」とつい言ってしまいがちで悩んでいたところ、クライアントから 「〇〇にこだわっている理由はありますか?」のようなオープンな質問をすると良い とアドバイスをもらいました。

3回目

クライアントの話を聞いていて、私が勝手に「この方向で進みたいんだな」と決めつけてしまい、その方向に話をリードしてしまうことがありました。 これに対しては、「そうとは限らないかもしれないですよ」というフィードバックをいただきました。

「私はあなたの話を聞いていて、この方向で進めたいのかなと思ったのですが、どうですか?」 のように、自分の解釈を Iメッセージ で伝え、相手に確認することが大切だと学びました。

Iメッセージが重要という知識はあったのですが、実際には1on1中に自分の意思を出すことは良くないと思い込んでいた自分に気づきました。

4回目

今回はIメッセージができたと自分では実感していたのですが、クライアントからのフィードバックは「共感は初回や最初のうちは心を開いてもらうために大切だが、もう心は開けている。だから今からは より深掘りする質問 の方が良い」というものでした。 より深掘りする質問とは、例えば、「言葉に詰まっていそうですが、今は何に悩んでいますか?」などです。 また、私はクライアントが返答に詰まってしまっている時によくない質問をしたと思って焦ってしまい、こちらから質問に対する回答の選択肢をいくつか出してしまっていました。 しかし、1on1においては 相手を悩ませる質問の方がいい とフィードバックをもらいました。 相手が悩んでいる時こそ、 オートクライン効果を引き出せる のだと理解しました。

※ オートクライン効果とは コーチングにおいて、自分が話した言葉を自分で聞くことで、自分の潜在的な考えや感情に気づくこと。 1on1において、クライアントのオートクライン効果を引き出せるようになるのが理想です。

5回目

クライアントの性格にもよりますが、クライアントがどんどん話し続けてくれる場合は、「結局どの部分を一番話したいですか?」と遮っても良いということを学びました。 一方、クライアントが黙ってしまっている場合は、何を答えて良いか分からないがゆえの沈黙の際には介入し、オートクライン効果が出ているがゆえの沈黙の際は介入しない方が良いと教えてもらいました。 再現性高くコーチ力を身につけるために、様々な性格のクライアントと1on1をしてみた方が良いと感じました。

また、クライアントが「ブログを月に〇本書く」という目標を掲げており、「そのブログを読んだ人にはどうなって欲しいですか?」と問いかけました。 クライアントにとっては、数値的な目標ばかり意識してしまっていたので、この問いによって自分の理想の姿を再度思い返すことができたようです。

6回目

毎回1on1の冒頭で前回話していた内容を確認するように意識しているのですが、今回は「前回は〇〇について話していましたが、今回は前回の続きを話したいですか?それとも別の話題が良いですか?」と話題の優先順位を確認するようにしてみました。 結果的には、クライアントにとっても満足だったようです。 冒頭だけでなく、1on1の最中で話題が発散したタイミングに「今3つくらい話題が出ましたが、どれを一番話したいですか?」と問いかけるのも、話題が発散しすぎず良かったです。

また、相手が言葉に詰まっている時には、 言葉を変えて質問してみると良い というアドバイスもいただきました。 具体的には、「頑張っていることはありますか?」と聞いた時に、相手が返答に詰まっていたら、「これをやっている時は楽しいと思うものは?」と聞くといった感じです。

7回目

相手の話の解像度が低いと、つい質問しやすいところから事実ばかり聞いてしまい、面接っぽくなってしまっていました。 そんな時は、相手の「声色」や「表情」から客観的に見えていること(例:「この話をしている時は楽しそうですね」)を伝えてあげると良い、と教えてもらいました。

また、クライアントが私よりも年上で、社会人歴もユーザベース歴も長いので、弱音を吐き出しにくいと感じることもあるようです。 そのため、「今日はいつもより元気なさそうですが、何かありましたか?」などと、相手が弱音、悩み、もやもやなどを言いやすい空気を作ることも重要だと学びました。

1on1全体を通しての感想

毎回フィードバックをもらったことで、できるようになったことが増えたと思います。 これからは、コーチングスキルの再現性を高めるために、他の方の1on1のコーチにも挑戦してみたいです。

また、自分のコーチングスキルの向上以外にも、いくつか意外なメリットがありました。 1つ目は、チーム外に定期的に話す人ができたことです。1on1のクライアントとは毎週30分話していたので、1on1以外でも話しかけやすくなりました。 2つ目は、安心感が増えたことです。私はユーザベースに入社してまだ1年、社会人歴も3年目ということもあり、先輩方は何でもできるように見えていました。しかし1on1のコーチをやってみて、先輩にも悩むことや上手くいかないことがあるということを実感しました。

まとめ

初めて1on1コーチを経験して、コーチングの 「教える」ではなく「引き出す」 ことの難しさと楽しさを実感しました。

特に印象的だったのは、毎週のフィードバック を通じて具体的なスキルが身についていく過程です。ティーチングからの脱却Iメッセージの活用オートクライン効果を意識した深掘り質問 など、頭で理解していることを実践で身につけるのは想像以上に難しく、同時にやりがいを感じました。

また、コーチングスキルの向上だけでなく、チーム外とのつながり先輩社員の人間らしい一面 を知ることができたのも大きな収穫でした。

今後は、さまざまなタイプのクライアントと1on1を行い、コーチングスキルの再現性 を高めていきたいと思います。そして、この経験を通じて、自分自身もより良いコミュニケーションが取れるようになりたいです。

1on1コーチに興味がある方は、ぜひ挑戦してみてください。毎回のフィードバックと振り返り を大切にすれば、きっと成長を実感できるはずです。

Page top